「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝」感想など(ネタバレなし)

昨日、 「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝」を見てきました。
京都アニメーション制作の映画で、あの事件の後初めて公開されるものということで、変な注目を集めてしまったこの映画。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は元々はTVアニメで、2018年1月~3か月にわたって放送されました。
とにかく美しい作画、世界観、丁寧な描写、そして深くて心に響く内容。どれもこれも素晴らしくて、我が家は家族全員であっという間にヴァイオレットちゃんのとりこに。(表題の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は一人の少女の名前です。)
ほぼ一話完結の内容でしたが、毎週泣いたり笑ったり、何度も見直したりして、夢中で見ていました。

 

劇場版が決定したと聞いたときは本当にうれしかったです。あの美しい世界を、ヴァイオレットちゃんをスクリーンで見られるなんて!と思いました。
実は情報不足で、この「外伝」の公開に関しては、つい最近知りました。来年1月公開予定だった完全新作の方の情報しか知らなかったのです。
他のアニメ映画を見に行った時にこの映画のCMが入り、娘と「絶対見に行こうね!」と約束していました。

 

そしてあの事故。

 

その後、京アニ制作で公開予定されていた色々な劇場版が無期限延期や公開中止になる中、この外伝だけは予定通り公開されるということで、本当に楽しみにしていました。
後から知ったのですが、この映画、事件の前日に完成したそうです。

 

6日(金)に封切られたのですが、ツイッターなどで見る限り、東京の大きな映画館では映画館のロビーにマスコミが殺到し、鑑賞後の客を捕まえてインタビューを強引にしていたようで、しかも、映画の内容ではなく事件のことなどを聞かれるのがほとんどらしく、Yahoo!のニュースでも取り上げていて「(事件の件を思って)涙する観客も多かったようだ」などと書いてあり、純粋な「ヴァイオレットエヴァーガーデン」ファンの1人としてとてもイライラしました。
犠牲にあった方たちも、そんな評価されたくなかっただろうに…。

 

それでもやっぱりこの作品が好きだし、公開も3週間限定(これは事件の前から決まっていたこと)でしたし、とにかく早く見たかったので、昨日見に行ってきました。
田舎なので、上映する映画館までは車で1時間半。
がんばって行ってきました。

劇場はこんな田舎なのにほぼ満席でした。ネット予約しといてよかった。

 

映画の感想ですが。
とてもよかった。1時間半という短い映画でしたが、5時間くらいの長編映画を見たような気持ち。そのうち2/3は泣いていた気がする(笑)
TVアニメシリーズの時の雰囲気そのまま、ヴァイオレットちゃんとその仲間たちに出会えたことに本当に感動しました。
その時代、その時代にあるどうしようもない風潮、それに逆らったり、逆に流されたりしながら、とにかく生きていく人たち。
その中で救える命、救えない命。人とかかわることの大切さ、決断することの難しさ、本当に短い時間なのに、そういうのをすべて教えてくれる。
嫌味や上から目線ではなく、本当にその世界の中で、ただ、淡々と幸せを見つける人たちの、ほんの小さな物語。

 

本当に、世界中の人に見てほしい映画でした。
ただ、やはり、「外伝」だけあって、TVシリーズを見ていない人にはなかなかに難しい基本設定を、ちゃんと説明していない部分が多くあり、それを、まあ、知らなくてもたぶん感動できるとは思うけど、是非、アニメシリーズを一度全部見てから映画を見てほしいと思いました。
逆に言えば、アニメシリーズを見て感動できない場合は、劇場版見る必要ないですw

TVアニメ版知らないけどこの映画見に行くって人は、少なくとも公式サイトのイントロダクションストーリーをざっくり読んでから行ってください。きっと感動が2倍になります。

 

この映画館、大きな娯楽商業施設の中に入っていて、普段は映画の後、娘とその施設内のおしゃれなカフェに行って感想を語り合ったり、ゲームセンターで遊んだりして帰るのですが、今回は本当にそういう気持ちになれず、二人ですぐに車に乗って帰りました。
車の中で少し話しましたが、なんというか、お互いに感想を共有するというような話ではなく、自分の中でずっと考えて、余韻に浸る、というような内容でした。
本当に素晴らしかった。素敵な映画を作ってくれてありがとうございました。

 

最後に、少し事件に絡めた話を。
この映画のEDクレジットに、犠牲者の方の名前全員が入るというのは事前に知っていました。
それに関する賛否両論の意見も見ていました。
私も、別にそんなにする必要ないんじゃないの?とは思っていました。
実際のクレジットは、事件に触れず、ただ「制作に携わった人」という感じで流れました。
私は全員のお名前を知っていたわけではありませんが、有名な監督さんの名前が出てきたので、あ、この部分がそうなんだ。と解りましたが、知らない方が見たら、ただのたくさん流れるクレジットの1部でしかなかったと思います。
しかし、そのクレジットは本当にあって良かった。この素晴らしい作品のクレジットに名前が残るなんて、本当に光栄なことだと思います。
そんなことで、あの事件の悲惨さが消えるわけではなく、ただ悲しみが募るだけだとは思いますが、それでも、やはりこのクレジットはあって良かったなと思いました。
クレジットとして流されたら、その人数の多さに衝撃を受けました。
心よりご冥福をお祈りします。
それと、来年1月に公開されるはずだった、「ヴァイオレットエヴァーガーデン」の完全新作劇場版が公開延期になったのは知っていましたが、映画の最後、ED後にこの映画のCMが流れ、公開予定日が入っていたところが「鋭意制作中」となっていたことに、とてもとてもうれしくなりました。
ファンは何年でも待っています。
京アニの再建を、そしてこの劇場版の公開を。
心からそう思いました。

 

www.violet-evergarden.jp